駆け出しフリーランスマザーVOL.1



駆け出しフリーランスマザーです。4歳と2歳の2人の子供がおります。フリーランスになるまでは8年間システムエンジニアとして活動しておりました。
フリーランスとしてはまだ1年目の駆け出しですが、様々な所感をお伝えしていこうと思います。

今回は初のコラムということで、まずはどうやってフリーランスになったか、フリーランスになったことで得られたメリット、それによって生じた課題、そしてどのように対処していったかについてお伝えしようと思います。


時間の自由度が圧倒的に高い


フリーランスになるのを決めるに至るまで、4年間の月日を要しました。自分は1人目の育児休暇が切れるタイミングで2人目が産まれたので、一度も会社に復帰せず、実質4年間育休を取得しました。その4年間で自分のライフスタイルが仕事中心から子供中心へと180度変わってしまいました。それでも4年間毎日会社に復帰したくて仕方ありませんでした。今しかない幼い子供との貴重な時間を手放すにあたり、それをどう自分に納得させるか苦しみ、2人目妊娠中は鬱になるほどでした。

というのも、仮に会社に復帰していた場合、通勤往復1時間半、時短勤務最短6時間、お昼休憩時間1時間が必要となり、いわゆる勤務するのに必要な時間は1日あたり8時間半に及んだのです。主人は激務で家事はゼロ、帰りは常に深夜1~3時、子供の送迎は期待できる状態ではありませんでした。復帰すれば自分に更なる負荷がかかり、今より更にバランスを崩してしまう恐れがありました。

いろいろ悩みに悩んでいた頃、2018年のサッカーワールドカップに向けたイベントで村上さんの存在を知り、彼の著書『半年だけ働く』を読みました。今は本当に自由で多彩な働き方を自分で選択できる時代であり、それを堂々と選択して良いのだと背中を押されました。それから様々なご縁に恵まれて、複数社と業務委託契約を結ぶことができました。

週1~2回の出社、各出社時間は2〜3時間、通勤時間は家から往復1時間以内、かつ会社のPCを持ち帰っての在宅勤務が可能となっております。月20営業日とすると8.5時間×20営業日=170時間必要だったのが、月50時間未満と3分の1以下におさえられています。在宅勤務については、子供達が幼稚園やプリスクールに登園している間や、彼らが寝静まった後など、あくまで空き時間を活用しております。このように自由度が群を抜いて高く、ご自身や家族のペースで稼働できるのが非常に大きな魅力です。

例えば、「子供が入園・入学するから4月はほぼ稼働できません」とか、「8月は子供達が夏休みなので稼働できません」といった調整も可能になります。案件ベースの発注になるため、このような稼働が可能となるのです。私は複数社と契約しておりますが、1つは案件ベース、もう1社は3ヶ月毎に発注してもらっていて、その時にどの程度稼働するかを決めています。4月は子供が入園で忙しかったため10%稼働とさせていただいておりましたし、逆に稼動できる時は30%としておりました。最近では20%(月30時間未満)の稼働とさせていただいております。現在3人目を妊娠中なので徐々に稼働を減らしており、来年再来年いっぱいは5%稼働程度になると思います。



自分に何ができるのかを明確にする

システムエンジニア時代は、いわゆるV字開発型モデルの上流工程(概要設計、外部設計、総合テスト、リリース)とプロジェクトマネジメント経験もあったので、そのような仕事のお話もいただきましたが、私のような稼働スタイルでは到底できません。ただし、エクセルやワード、パワーポイントのスキルはある程度はあります。ファイナンス研究科卒業なので簿記の知識もある程度はあります。結果として、在宅でもできる経理や事務や証憑管理、市場調査、資料作成といったお仕事をお引き受けさせていただきました。

これまでの業務経験を自分で“深堀り”をして、この程度だったら割と余裕でできるというところまで落とし込む作業は必須になるかと思います。逆に、こういうスキルを身につけたいという意識も大切です。フリーランスにはOJTや教育環境があるわけではないので、自分にはそのようなスキルも必要だと思ったら、自ら飛び込んでいく姿勢も必要かと思います。私自身、経理や証憑管理はできるようになりたいという思いがあったので、ぜひということでお引き受けさせていただきました。


優先順位とバッファを常に意識する

時間や稼働内容だけ見れば魅力的ですが、フリーランスには教育環境だけでなくボーナスも福利厚生もありません。成果報酬か時給換算になります。時給換算となれば、空き時間の全てを稼働時間とすることもできます。極端な話、起床時間全てを使って稼働時間とすることもできるのです。しかしそうすると、本来自分が休まなきゃいけない時に休むことができない。自分や家族が急遽不調となった場合に他に動けるメンバーがいないなど、いざという時に自分が無理をするしか選択できない状況になってしまいます。

フリーランスになったばかりのこの1年近くは、久々の仕事が嬉しくて、あまりに夢中になり過ぎて、本当にいろいろ手を出しすぎてしまいました。結果複数社と契約するだけでなく、プロボノ活動もしていたので、深夜3〜4時まで在宅で仕事していることもざらにありました。となると、日中は眠く育児家事に注意散漫になり、遊びながら絵本を読みながら居眠りして子供達に怒られる始末。これでは何のためにフリーランスを選んだのか。本末転倒でした。それでも本当に楽しくて、毎日夢中になっていたことを覚えています。

でも、自分は何のために復職ではなくフリーランスを選んだのか。それは子供との時間をできる限り捻出したかったからに他なりません。であれば、それに影響しうる負荷を自分に与えてはいけなかったのです。特に育児は体力勝負であり、子供のため家族のためと自分を追い込みがちです。だからこそ、意識的に自分にバッファを持たせることが必要になってきます。 目の前にある物事の優先順位を常に意識して、本当に自らが可能な範囲で仕事を引き受けて実践することが、自分も周りも気持ちよく仕事できるために非常に大切になってきます。それがこの1年間の大きな反省点でした。


フリーランスになって自信を取り戻すことができた


フリーランスになって1年間近く稼働して、毎日子供としか会話しない日々が楽しく鮮やかに色付き、毎日が目まぐるしかったです。子供が産まれて自分のライフスタイルをどうしたら良いか、また専業主婦を選択したものの少し社会とも関わりを持ちたいという方にぜひおススメなのではないかと思います。自分には何ができるか、何に興味があるかを“深堀り”していくのはなかなか難しいですが、完全にできる範囲でまず1つ何か引き受けてみて、その中でさらに自分ができることを見つけていく・・・というのも、とても面白い作業です。

私は、一生フリーランスとして、生涯何らかの形で社会と携わっていきたいと思っています。