3話「個人事業主と法人成り、税理士に依頼するかどうか?」

個人事業主が株式会社へ変更(設立)する事を「法人成り」と言います。
今回は、 法人成りするタイミングやメリット・デメリットについて話をします。


法人成りするタイミング


ひとつの目安としては、個人の事業(不動産)所得が500万円を超えたら法人を設立することが多いです。

例えば、事業所得(売上-経費-青色申告特別控除)が500万円で、所得控除が150万円とすると、課税所得は350万円 (500万円-150万円) となります。
個人事業主の税金(消費税は除く)は、 所得税、住民税、事業税の合計で、約73万円となります。

法人成りして役員報酬を500万円とすると、法人税・事業税は0円となりますが、法人住民税の均等割額7万円が課税されます。
給与所得は、500万円-給与所得控除額144万円=356万円となります (給与所得控除額については、令和2年の税制を適用)。
所得控除を150万円とすると、課税所得は206万円となります。
個人の所得税と住民税の合計は、約30万円となります。 先程の法人住民税の均等割額7万円を加算すると、総合計で37万円です。

税金面でのメリットが、73万円-37万円=36万円となります。

税金面を考えずに、事業が軌道に乗った時に法人成りするのもひとつの方法です。個人事業主ではなく法人組織でないと取引をしてもらえないケースが増加した場合も、法人成りすると良いでしょう。勿論、節税も大切ですが、最初から法人組織で起業する事も良いと思います。

今回は消費税について考慮していませんが、個人事業主の時に消費税の納税が有る場合には、法人成りして約2年間免税事業者となる方法もあります。

その他にも法人成りのメリットやデメリットはあります。相対的にみて判断すると良いでしょう。


法人成りのメリット


● 対外的な信用が増す
● 節税出来る
● 資金調達(助成金等)がし易くなる
● 決算月を好きな月に出来る
● 退職金を事業主へ払う事が出来る
● 社宅制度の活用が出来る


法人成りのデメリット


● 税理士等への報酬や社会保険料の負担が発生する
● 経費について個人事業主よりも厳密になる
● 事務処理が個人事業主よりも煩雑になる


税理士に依頼するべきか?


では、税理士に依頼するべきなのかどうか・・・?については、個人事業主で、ご自身である程度帳簿や確定申告が出来る場合は、税理士へ依頼する必要は無いと思います。勿論、記帳や確定申告に手間を掛けたくない場合は、税理士へ依頼して代わりにやってもらうと良いでしょう。

一口に税理士といっても、全ての税法に精通している訳ではありません。資産税が得意な税理士や、法人関係の税法が得意な税理士など、様々です。 更に、資金繰りや、助成金、売上アップ等についても、税理士によって色々な得意分野があります。記帳代行に税理士を活用するのも良いですが、是非、得意な分野を一度税理士へ聞いてみてください。依頼したい内容と税理士のスキルがマッチすれば、税理士を活用すると良いと思います。もちろん、費用感が合うことも重要ですね。

それでは。良い一日を!!