コロナとトラブル時の情報との付き合い方

新型コロナウィルスで様々な情報が行き交う日々になりました。
最後にも述べさせていただきますが、こういった状況では情報に振り回される事なく、自分のできる事に注力する事が重要です。

今回は、個別案件 を題材に、仕事でもよくあるトラブル時の情報やデータとの付き合い方について紹介します。


■憶測に振り回されない


システムエンジニアであれば必ず出会うのが、トラブルです。トラブル時には現場に様々な情報が飛び交い、混乱に陥ります。そんな時、情報との付き合い方が重要で、特に「事実」「憶測」を切り分けることが重要となります。現場で飛び交う情報には、個人の推測や意見などの「憶測」の情報が多く、「事実」を確認すると、意外と単純な課題で対応もすぐできてしまう事もあります。もちろん中には深刻なトラブルもありますが、「事実」を一つ一つ確認して対処することが重要で、様々な「憶測」に振り回されてはいけない事に変わりはありません。

今回のコロナウィルス においても、様々な「情報」が飛び交っています。

結論から先に言うと、新型コロナウィルス についてはようやく情報が集まりつつある状況ですが、日本においてはまだまだ情報が少なすぎるのが現状です。私も感染症や医療については専門家ではないため無責任な事は発言できませんが、データの観点に絞ってまとめたいと思います。

今回の新型コロナウィルスに対して、以下のようにデータをわかりやすく伝える取り組みも増えてきました。

東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」
日本経済新聞社電子版「新型コロナ感染 世界マップ」
ジャッグジャパン株式会社「都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ」
東京都「都内の最新感染動向」
GISAID - Global Initiative on Sharing All Influenza Data

こういったデータをわかりやすく伝える仕組みをスピーディに実施するケースが増えたのは非常に良い事です。特に東京都の取り組みは開発ソースも公開する事でより多くのエンジニアが関われるようになっており、かなり先端的な事例だと思います。

今回は、これらのデータを活用しながら、データを見る視点を紹介します。

視点1:時系列に見る

感染の広まり度合いを把握するためには、感染者データを時系列に見ることが重要です。

今回、政府から休校や大規模イベントの自粛要請がされていますが、感染が落ち着くまでは、より強い行動規制が実行されると思った方がいいでしょう。合計の感染者数グラフ推移も大事ですが、毎日の新規感染者増加数を見ることで、感染者の増加スピードを把握することができます。

3月初めから休校措置が取られ、新規の感染者は2/28の24人をピークに、3/4に一旦は16人と収束するかに見えましたが、3/5に30名、そして3/7に53名と増えていっています。増加スピードが減らないうちに行動規制を緩和するのは非常にリスクが高いため、今後も行動規制は続くか、より強いものになると予測されます。日本ではこの増加傾向が減少に転じるまで、予断を許さない状況が続くでしょう。

一方で、中国では感染者数の増加は2月中旬をピークに、3月は減少し、ピークを超えて落ち着きつつあるようです。今後、中国において行動規制が徐々に解除された後、感染者は増えないのか、海外からの流入リスクも含めて動向が注目されます。

視点2:比率で見る

また、データを比率で見ることも重要です。

感染する確率や感染した場合の致死率などを把握する事は、自分の身に関わるリスクの高さを把握するためにも重要です。

今、どこの国でも公開されているデータは、人口、感染者数、死亡者数などがあります。上記にも挙げたGISAID - Global Initiative on Sharing All Influenza Dataのデータを元に整理してみました。

日本では、現在の感染者数が833人に対し、死亡者数が27人(2020/3/17時点)で、単純に割ると3.2%という値が出てきます。世界のデータを見ると、感染者数182,406人に対して、死亡者数が7,154人で、こちらも割ると3.9%という値が出てきます。なお、中国の湖北省では人口5,850万人に対して、感染者が67,799人で0.1%、死者数が3,111人で致死率が4.6%です。

この致死率は年齢や個人の体調、そして医療機関の準備度合いによっても大きく変わってくるようです。特に高齢者や持病を持つ方は注意が必要です。

一方で、人口に対する感染者の比率を見ると、震源地の中国でも人口が13.9億人もいるため、感染者の比率は0.0058%という数字となります。しかし、この数字だけを見て自分の感染リスクは低いと楽観的になると、イタリアのように深刻な状況になってしまうリスクを抱えています。

イタリアでは感染者が27,980人で、人口比にすると0.046%と、中国よりも8倍も高く、湖南省に比率が近づきつつあります。さらに死亡者数は2,158人となり、感染者あたりの致死率が7.7%と深刻な状況になっています。イタリアで中国よりも致死率が高い原因は、行動規制が遅れた事で感染者が急激に増え、医療機関が機能していないことだと言われています。

今後はヨーロッパでの感染状況が深刻で、動向が注目されます。

なお、感染率で注目するデータとして、インドがあります。人口が多いのに感染者は119人と少なく、感染率も桁違いに低いようです。何か対策のヒントがある事を期待します。


■あれこれ考えるよりも自分のアクションが大事


これだけ様々な事を語った上で恐縮ですが、こういったトラブル時には、飛び交う情報についてあれこれ考える事ではなく、自分のアクションに集中が重要です。そして、考えすぎずにとるべき行動を選択するポイントは、「できる事」と「できないこと」を見極める事です。もしあなたが国のリーダーであれば、感染をどう食い止めるかの施策を必死に考える事は有効です。しかし、そう言った権限を持たない場合、自分のできる範囲で何をすべきかに集中すべきでしょう。

今、できることに集中する

他人の行動や考えを変える事はできませんが、自分の行動や考えは変えることができます。具体的には、外では自分の行動範囲や手の動きに気をつけて、無闇に物を触らないようにしたり、咳をしている人から離れて、感染リスクを下げること。外から自宅に戻ったときは、リスクを自宅に持ち込まないように手洗いを徹底すること。自宅では体調、睡眠、そして食生活に集中し、できるだけ免疫力を上げること。そして、体調が優れない場合は、念のために外出を控えるようにすること。なお、免疫力を上げるためによく笑うことをお勧めします。

そんなことを心がけて、この曲面を乗り越えていただければと思います。