5話「節税についてその1」

税理士へ依頼する理由の一つに、節税目的があると思います。
勿論、脱税はダメです。更に、租税回避行為(ちょっと専門用語ですが、簡単に説明すると税金を逃れる為に法のスレスレ行為をする行為・税金を安くする事を第一に考え、租税回避する行為)もダメです。節税する時は、経済合理性を説明出来るかが大切です。


会社で生命保険に加入するのは節税にはならない?


節税には、お金の出る節税お金の出ない節税があります。

お金の出る節税の代表例は、
会社で生命保険(経費で落とせる)に加入する事です。通常この方法は、節税よりも課税の繰延なので、実は、あまりお薦めではありません。
実は、税制改正で使えなくなりましたが、考え方を説明する為に以下の事例を取り上げます。

課税の繰延とは、
例えば、3年間、保険料差引前利益800万円、税率25%、保険料年間100万円、3年後300万円が解約返戻金で戻ると仮定します。

【保険未加入の場合】
1期目 2期目 3期目
利益    800万円 800万円 800万円
税金 200万円 200万円 200万円

==>合計600万円納税

【保険加入の場合】
1期目 2期目 3期目
利益 800万円 800万円 800万円
保険料 100万円 100万円 100万円
解約返戻金 300万円
税金 175万円 175万円 250万円

==>合計600万円納税

税金の計算は、700万円×25%=175万円。
(800-100+300)万円×25%=250万円。

結論、税金の支払いを後にするだけです。支払総額は、同じです。
税率が変動する場合は、注意です。将来的に税率が下がる場合は、税の軽減があります。

勿論、会社の借金が多額にあるので、社長が亡くなったら借金が返済出来なくなる可能性が高い場合は、リスク軽減の為に入る場合があります。
他には、従業員の福利厚生の為に入る。


会社で生命保険に入る時の注意点


会社で生命保険に加入する時には、以下の点を考えてください。

● 生命保険料は、先にお金が出てしまいます。生命保険に入っても売上は上がりません。
そのお金を人材投資や設備投資へ投下した方が良いかを考えてください。

● インフレの時は、今の100万円と10年後の100万円では価値が違います。今の経済状況を考慮してください。
インフレなら今の100万円の方が、価値があります。保険加入でお金を出さないで、今後の事業の為に投資をすべきかを考えてください。

● 会社であれば、自己資本比率が35(出来れば40)%以上になったらお金の出る節税を採用するのも良いでしょう。

● 生命保険に加入する事で原則、会社は儲かりません。儲かるのは、保険会社です。ここを良く考えてください。
勿論、リスク(借金)を軽減する為に入るべきかを考える事も重要です。

● 保険料支払は、通常長期となります。長期間、利益が出る体質かどうかを考えてください。

● 目先の節税に惑わされず、税理士(保険代理店に入っている税理士だと注意)にも相談してください。


お金の出る節税のおすすめ


お金の出る節税の中でもお薦めは、

◆ 決算賞与(従業員が、一時的に喜びます)
◆ 必要な30万円未満の備品を購入する
◆ 防災関連用品を購入する
◆ 社宅契約をする(従業員は、家賃の50~30%負担すると所得税非課税)
◆ 従業員への研修

今回は、主に、お金の出る節税について、書きました。
次回は、お金の出ない節税について書きたいと思います。

それでは。良い一日を!!