6話「節税についてその2」

前回の続きで、節税について話しをしていきます。

節税には、お金の出る節税お金の出ない節税があります。
前回は、お金の出る節税の例で生命保険加入について書きました。

課税の繰延(払う税金はトータルで同じ)となるケースが多い点に注意です。
税制改正で保険の節税は、かなり使う事が出来なくなりましたが、課税の繰延の考え方を知ると良いと思います。


お金の出ない節税


お金の出ない節税の代表例は、

◆貸倒引当金の計上(中小企業に限定)

売掛金等の債権に対して一定割合を経費計上出来ます。
例えば、売掛金1,000万円×1%=10万円が、貸倒引当金として経費計上出来ます。

◆使われていない(今後も使わない)資産や壊れた資産の除却損計上

◆債権に対しての貸倒損失計上(経費と認められるかどうかを税理士と相談してください)

実は、お金の出ない節税は、あまりありません。


特別償却と税額控除


ここで、特別償却と税額控除について説明をします。

実は、新品の機械装置等一定の金額以上の資産を事業供用(使うという意味)した場合、税務上、特別償却税額控除を選択出来ます。

特別償却とは
通常の減価償却費にプラスして (例えば、取得価額の30%) 減価償却する事。
課税の繰延である。(減価償却の合計は同じ。償却するスピードが違うだけ)。

税額控除とは
法人税(所得税)からダイレクトに税額(取得価額の7%)を引いてくれる事。税減免


特別償却は課税の繰延


■前提条件

機械装置12,000千円、 耐用年数3年(1年間4,000千円)、税率30%とします。

■特別償却を選択しない場合
1期 2期 3期
売上 100,000 100,000 100,000
経費 60,000 60,000 60,000
減価償却費 4,000 4,000 4,000
利益 36,000 36,000 36,000
税金 10,800 10,800 10,800

納税合計 32,400千円

■特別償却を選択した場合 

12,000千円 × 30% = 3,600千円(特別償却
3,600千円 + 4,000千円 = 7,600千円計上(1期だけ)

1期 2期 3期
売上 100,000 100,000 100,000
経費 60,000 60,000 60,000
減価償却費 7,600 4,000 400
利益 32,400 36,000 39,600
税金 9,720 10,800 11,880

⇒ 納税合計 32,400千円

初年度は納税額が減少しますが、トータルの納税額は同じです。

初年度納税額を減らしたい、来期以降赤字になる可能性が大きい、税率が低くなる場合は、特別償却を選択すると良いです。


税額控除は税の減免


■税額控除を選択した場合

12,000千円 × 7% = 840千円を税金から引ける(1期だけ)

1期 2期 3期
売上 100,000 100,000 100,000
経費 60,000 60,000 60,000
減価償却費 4,000 4,000 4,000
利益 36,000 36,000 36,000
税金 9,960 10,800 10,800

納税合計 31,560千円

特別償却と比較すると、税額控除は税の減免となります。
通常は、税額控除の方が、トータルで節税額が大きくなります。

それでは。良い一日を!!