38話「借入をする際の基礎知識②」

前回に引続き、借入をする際の基礎知識について書きたいと思います。


長期プライムレートで金利の目安を確認


借入をする際、長期プライムレートを確認してください。
「長期プライムレート」で検索すれば、今の金利が分かります。

長期プライムレートとは、銀行等の金融機関が最も信用度の高い優良企業に対して、長期(1年以上の期間)で貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のことをいいます。
優良企業に対してなので、プロパーで借入をする場合の金利目安と考えてください。担保有りや連帯保証人有りであれば、金利を更に下げることも出来るでしょう。担保無し、連帯保証人無しであれば、金利はちょっと上がるかもしれません。
プロパーでの借入の金利は、会社の財政状態や経営状態での判断となりますが、一つの参考指数として長期プライムレートを確認してください。ちなみに、令和3年6月1日現在は1%です。会社の状況が良ければ1%未満で借入をする事も出来ます。

ご存じだとは思いますが、将来インフレになるのであれば、借入有利となります。将来の予測は難しいですが、この先どうなるかを考えながら借入をするかしないかを判断するのも大切です。


債務償還年数の計算


銀行が大切にしている指数に、債務償還年数というものがあります。

債務償還年数 =(有利子負債 - 運転資金)÷ キャッシュフロー

有利子負債は、銀行からの借入金の事です。

運転資金は、(売上債権+棚卸資産)-仕入債務 の事です。
売上債権:売掛金、受取手形
棚卸資産:商品、製品、原材料、仕掛品
仕入債務:買掛金、支払手形

キャッシュフローは、税引前当期純利益+減価償却費の事です。

税引前当期純利益ではなく経常利益を使う場合もありますが、ここでは、税引前当期純利益を使う事とします。

実際の例を見ましょう。
借入金5,000万円 運転資金1,000万円 キャッシュフロー500万円の場合
(5,000万円 - 1,000万円)÷ 500万円 = 8年

ここで一つの目安を話します。

債務償還年数は、10年以内が理想とされています。年数を短くする為には、借入金を減らす事と税引前当期純利益を増やす事が大切です。銀行は貸して返せる会社へ融資をしたいのが本心です。最新の試算表からこの債務償還年数を計算してみてください。時系列で分析すべき指標でもあるので、3~5年分の決算時点の債務償還年数の推移を見るとよいでしょう。

お客様からよく質問される内容に、「うちは、いくらまで借入出来るか?」と言う内容が多いです。
一つの目安としては、総額で年商の4割までですと答えています。年商1億円ならば、4,000万円です。しかし、その企業の粗利率、固定費、所有資産で総合的に見なければ分からない点もありますので、ざっくり話すと年商の4割までですと答えています。

借入をする前に、上記内容を知識として参考にして頂けると嬉しいです。

それでは。良い一日を!!