自動化が進まないときは、内製化デジタル人材によるOPEX

今回は、内製化デジタル人材によるOPEXについてご紹介します。

OPEXとは、オペレーショナル・エクセレンスの略で、会社としての業務改善プロセスが現場に定着し、会社全体の業務オペレーションが磨きあげられ、会社の競争優位性を確立できてる状態のことを言います。
※詳しくは、「デジタルで加速するOPEX」の記事にも記載しています。

今回、自らが実践してみて改めてデジタルとの親和性を実感できたので、できるだけ具体的なエピソードも踏まえてご紹介します。


事業の成長とオペレーションの課題


事業が成長すると、オペレーションも増えてきます。オペレーションが増えると、作業が増えます。作業が2倍、4倍に増えるに連れ、関わる人材も2倍、4倍に増えるだけでなく、その多くの人材のマネジメントにかかる工数も増大してしまいます。更に人材が増える時期は、オペレーション内容も成熟していないため、ミスも発生しやすくなります。すると、今度はオペレーションミスを調査したり、リカバリする工数も増えてしまいます

こういったタイミングでいきなり自動化への取り組みを始めてしまうと、期待するほどの成果が得られない可能性があります。オペレーション内容が成熟していない状況では、その後もオペレーション内容が変化することが多く、せっかく自動化しても使われなくなってしまうケースも多発してしまうでしょう。だからといって、いつまでも人手で運用していては効率化は望めません。


自動化の前段階「型化」のために


このような状況でおすすめしたいのが、「デジタル人材によるオペレーション実践」です。

ポイントは、デジタル人材によるデジタル化ではなく、オペレーションの実践だということです。デジタル人材にオペレーションをさせると、恐らく1ヶ月も立たずに部分的なデジタル化が進む事になると思います。

そもそも、デジタル人材は単純作業が嫌いです。そのため、デジタル人材がオペレーションをすると、そのオペレーションの中で単純作業を見つけ出し、自動化させてしまうのです。業務の中には「データを入力する」という仕事がたくさんありますが、その殆どは他の場所にあるデータをそのまま入力するだけである事が多いです。このようなデータ入力業務の大部分は自動化することができます。また、判断が必要なデータ入力でも、ある程度簡単なロジックであれば自動化することもできますし、人の判断が必要な部分だけ人手で入力できるようにすることもできます。デジタル人材は、どの作業は自動化できるかすぐに見分けることができるので、単純作業を次々と自動化していくことになるでしょう。


デジタル化が進まない背景は


そもそも、現場でデジタル化が進まない理由としては、業務部門とデジタル部門の2つの原因があります。

業務部門は、デジタル部門へ実現したい事を要件として正しく伝えられないこと、そして、デジタル部門は業務部門のニーズを正しく把握できないことです。業務部門は、デジタルによって何ができるか把握できておらず、無茶な要求や的はずれな要求をを提示してしまうことがあります。一方で、デジタル人材は、その無茶な要求に対してできる限りの対応はしますが、結果的に効果があまりない施策を実施してしまいます。


業務理解には実践が最適


デジタル人材が実際に業務を実践できる環境を作ることができれば、業務を深く知ることができます。このとき、部分的な業務ではなく、できるだけ全体の業務にデジタル人材が携われるようにする事が重要です。業務の一部分を理解しただけでは、全体の業務を改善することはできません。

デジタル人材が業務を実践すれば、自動化できる業務やタイミングが重要な部分などを把握することができます。また、(意外と現場の業務に多い)同じ情報を使ってる業務については、コピーや並列実行なども提案することができます。


実際に実施してみた現場での効果は・・・?


実際に私が携わった現場では、事業拡大に伴って外注のスタッフが増えた現場にデジタル人材を投入したことで、大きな効果を得ることができました。具体的には、外注コストを半分以上削減することができ、業務の増減によって外注費が変化することもなくなりました。また、効果はコスト削減だけでではありません。自動化によって業務のリードタイムは半分以上短縮でき、業務品質を大幅に向上させる事ができました。

コスト削減とリードタイム短縮は、キャッシュフローの効果も大きく、経営に大きな効果を与えることができます。また、業務が大幅に効率化できたことで、販売チャンネルの拡大など、より大きなビジネス拡大について意欲的に進めることもできました。


その人材はデジタル人材?


一方で、デジタル人材の中には、こういったオペレーションの実践を好まない人もいます。そのような人材にオペレーションをお願いしてしまうと、改善どころか、何も進まなくなってしまいます。

しかし、私の知る限り、優秀なデジタル人材であれば、現場の業務を知りたい人がほとんどです。逆にオペレーションをしたくない人材ということは、例え使われなくてもプログラムやシステムを作ることしか興味がないという事ですが、そのような人材が有益なソフトウェアを作れるとは思えません

社内のデジタル人材の業務に貢献したいという意識を図る意味でも、デジタル人材によるオペレーション実践を是非オススメします。