39話「電子取引がある場合の税務上注意点」

今回は、令和4年1月1日以降の電子取引がある場合の注意点を書いていきます。

電子取引とは、例えばメールで請求書や領収書を受領している場合やAmazonでの取引を言います。EDI(電子データ交換)取引やインターネットによる取引も含まれます。


電子取引の保存に関する新たな条件


税制改正により「電子取引」の保存については、令和4年1月1日以降印刷をして書面保存が認められなくなりました。電子データを一定の要件を満たす方法で保存となります。(ちなみに、令和3年12月31日までは紙で出力して保存していれば大丈夫でした。)
電子データについて、検索機能を有するシステムでの管理が必要となりました。

検索の要件は、

  • 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定することが出来ること。
  • 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することが出来ること。
  • 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することが出来ること。

となっています。

なかなか中小企業では、新システム導入が難しい場合があります。
中小企業でも導入出来る事例が国税庁のHPにあります。


中小企業でも取り組めるパソコンでの保存方法


電子メールにPDFの請求書が添付された場合に、自社のパソコンでの保存方法は以下の通りです。

  1. 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容表示する。
    例えば、2022年10月31日㈱国税商事から受領した110,000円の請求書であれば、ファイル名を「20221031_㈱国税商事_110,000」とする。

  2. 「取引の相手先」や「各月」等任意のフォルダに格納して保存する。

  3. 電子取引データの訂正及び削除防止に関する事務処理規定を作成し、備え付ける。

税務調査の際に税務職員からのダウンロードの求めがあった場合には、上記のデータについて提出をする。
例外的に、基準期間(通常は2年前)の売上高が1,000万円以下であり、上記のダウンロードの求めに応じる事が出来る様にしている場合には、上記1の設定は不要です。

普段普通に電子メールに添付していた請求書や領収書、サイトから請求書等をダウンロードする場合には、令和4年1月1日以降は注意が必要です。ちゃんと保存していないと青色申告の承認が取り消されるケースもあるかもしれません。

参考までに、消費税については、電子取引の請求内容確認の為の紙による出力保存も認められています。税法の難しいところは、法人税と所得税は取り扱いが同じで、消費税では取り扱いが違うところです。

早めに準備をしてください。

それでは。良い一日を!!