49話「消費税のインボイス制度 取引先への注意点」

今回は、消費税のインボイス制度取引先への注意点について書きたいと思います。


インボイス制度と登録申請


35話でも書きましたが、インボイス制度とは、適格請求書等保存方式とも言われています。インボイス制度は、令和5年10月1日から導入されます。

消費税を払った事業者が、消費税を払った金額を預かった消費税から引く為(仕入税額控除という)には、原則適格請求書発行事業者からの請求書が必要です。

今までの請求書に登録番号を記載する事が大きなポイントです。登録番号を記載する為には、適格請求書発行事業者として納税地の所轄税務署長に登録申請をしなければなりません。

申請開始は、令和3年10月1日からとなります。登録しなければ、請求書に登録番号を記載することが出来ません。令和5年10月1日から登録する場合は、原則として令和5年3月31日までに登録申請書を税務署長へ提出する必要があります。課税事業者は、忘れずに申請をすると良いでしょう。


取引先に関する注意点


今後、重要となる確認事項として取引先が登録番号を取得しているかどうかを確認しないといけません。

  • 令和5年5月1日~令和5年9月15日までに取引先が登録番号を取得しているかを確認する。
  • 登録番号を取得していない取引先をどうするかを考える。

インボイスを発行出来ない事業者とは取引しないという考えも発生します(原則、払った消費税の税額控除が出来ない事が理由で)。

しかし、特例があります。

令和5年9月30日までは、
課税仕入れ等の税額×100%を仕入税額控除出来る。

令和5年10月1日(インボイス開始時)~令和8年9月30日まで
課税仕入れ等の税額×80%を仕入税額控除出来る。

令和8年10月1日~令和11年9月30日まで
課税仕入れ等の税額×50%を仕入税額控除出来る。

令和11年10月1日以降は、
原則課税仕入れ等の税額控除出来ない。

上記内容を確認すると

令和8年9月30日までは今まで通りに取引をする。
若しくは、仕入税額控除が半分になっても良ければ令和11年9月30日まで取引をする。
という選択肢もあります。

ここで一番の問題が令和11年10月1日以降の取引先への支払です。お互いの関係性で変わると思いますが、

  • 免税事業者ならば、取引先へ消費税分を賦課するのをやめてもらう。
  • 取引先へ課税事業者となり、登録番号を取得してもらう。
  • いままで通りの支払をする。

の3つから選ぶ事になります。

経理処理で取引先の登録番号(適格請求書)があるかないかで、税額が変わります。事務の手数や相手先との力関係で判断が必要です。早めに今後どうするのかを決めると良いでしょう。

それでは。良い一日を!!