18話「税を身近に考える~租税教室~税理士からのメッセージ!」

今回は、税の役割について書いてみます。

殆どの人が、税金は払いたくないと思っていると思います。
税理士の仕事の一つに「節税」もあると思いますが、加えて、私は租税教室で「税を通して社会を考える」授業を行っています。小学校向けの租税教室の内容ですが、大切な基本的内容は大人向けと同じです。

授業は3部構成となっています。


第一部:税金や日本の制度について知る


最初のパートでは、税金の種類についてや、子供達も納めている消費税がどの様に集められ、使い方が決められているのかを紹介しながら、内閣、国会、選挙等の民主主義の制度について触れます。公共施設や公共サービスが税金によって賄われている事にも触れます。みんなの為に集めて、みんなの為に使う。

キーワードは、

「私達が主人公」・・・選挙で国会議員を決め、国会で税の集め方や使われ方を決める。租税法律主義。
「思いやり」・・・困っている人を税は助ける仕組みがある。例えば、救急車。


第二部:町づくりゲームと多数決


2つ目のパートでは、町づくりゲームをします。予算以内で、学校、病院、警察、図書館、橋、競技場、ごみ処理場、消防署、公園、プールの10の公共施設の内、どの公共施設を作るのかを話し合います。

あるクラスでは、学校はいらないと言う意見があります。理由は、塾で勉強が出来るからです。又、図書館で勉強するのでいらないと言う意見もありました。学校の先生は、学校が無いと仕事が無くなるとガッカリしていました。学校が必要だと思う意見には、友達に会える、塾は好きでないなどの声がありました。病院、警察署、消防署は、作ると言う意見が多いです。子供達の色々な意見は、とても面白いです。作る理由、作らない理由を聞きながら進めます。

最後は、民主主義なので多数決で一つの案にまとめます。多数決はどちらが正しいのかを決めるものではありません。どちらの意見が多いのかを決めるだけで、少数意見が間違っているわけではありません。

限られた予算内で公共施設を作るゲームは、子供達にとっては楽しいゲームとなります。


第三部:公平とは何かを考える


最後のパートでは、予算900の税金を公平に集める方法について考えてもらいます。

儲けが異なる3人(Aさん2,000・Bさん750・Cさん250)に税金を負担してもらう場合、どのように負担し合うのかが「公平」であるのかを子供達に話し合ってもらいます。

定額法、定率法、累進法の方法が子供達から出てきます。立場の違いがあるので、自分の立場に有利な方法を主張する中で、「公平とは何か?」を考えてもらいます。最後に学級でどの方法にするのかを決めてもらいます。

儲けの多い場合には、累進課税を選ばないケースが多いです。逆に、儲けが少ない場合は、累進課税が良いという意見が多いです。立場は、病気等でいつまでも儲けが多い状態は続かないので、色々な立場になった事を前提に考えてもらいます。中には借金してまで、税金を納める意見もありました。

税金は、約50種類あります。定額法、定率法、累進法等の方法を取り混ぜることによって公平に税を負担してもらう為に約50種類あります。

子供達が税金や社会に興味を持つきっかけになればと思い、租税教室の講師をやっています。実は、租税教室の講師をやるきっかけは、長男が生まれた年に何か新しい事にチャレンジしてみようと思ったことでした。その一つが租税教室の講師です。

以前、たまたま長男のクラスで租税教室の講師をやる機会がありました。長男からは、「憂鬱だ」と言われました。言われた方も憂鬱になります(笑)町づくりゲームの担当で盛り上がった授業が出来たので、ほっとしました。

前回、子供への手紙について触れましたが、何かのきっかけで社会に貢献する事をやってみるのも良いと思います。私は租税教室の講師ですが、皆さんのヒントになればと思います。

いつも最後まで、読んで頂き、ありがとうございます!!