59話「消費税のインボイス制度のまとめ1」

今回は、消費税のインボイス制度について書きたいと思います。以前35話でも書きましたが、そろそろもう一度改正を含め確認していきたいと思います。

インボイス制度とは、適格請求書等保存方式とも言われています。インボイス制度は、令和5年10月1日から導入されます。


消費税納税額の計算ルール


消費税を払った事業者(消費税の納税義務者)が、消費税を払った金額を預かった消費税から引く為(仕入税額控除という)には、原則適格請求書発行事業者からの請求書が必要です。

消費税納税額の原則的な計算は、「預かった消費税-支払った消費税」となります。
売上に対する消費税は、預かった消費税となります。(例えば税抜売上100万円なら10万円が預かった消費税)
仕入に対する消費税は、支払った消費税となります。(例えば税抜仕入80万円なら8万円が支払った消費税)
従って、10万円-8万円=2万円が消費税納付となります。
今回の改正で、支払った消費税について、適格請求書でないと8万円が原則引けない事になります。従って、納税額が10万円となります。


適格請求書への登録番号の記載


適格請求書の記載事項には、

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称
  2. 登録番号
  3. 取引年月日
  4. 取引内容(軽減対象品目である場合はその旨)
  5. 税抜取引価額又は税込取引価額を税率区分ごとに合計した金額
  6. 5に対する消費税額等及び適用税率
  7. 請求書等受領者の氏名又は名称

今までの請求書に登録番号を記載する事がポイントです。

登録番号を記載する為には、適格請求書発行事業者として納税地の所轄税務署長に登録申請をしなければなりません。申請開始は、令和3年10月1日からとなります。登録しなければ、請求書に登録番号が記載出来ません。

令和5年10月1日から登録する場合は、原則として令和5年3月31日までに登録申請書を税務署長へ提出する必要があります。
⇒税制改正で令和5年9月30日までに延長されました。しかし、課税事業者は、早めに申請をしてください。


免税事業者は注意が必要


注意点は、免税事業者の場合です。免税事業者が適格請求書発行事業者となるかどうかの判断です。結論は、適格請求書発行事業者とならないと売上が激減する場合は、適格請求書発行事業者になる方が良いです。別の視点での判断で、学習塾が例となりますが、売上先が事業者で無い場合は適格請求書発行事業者とならなくても特に問題は無いと思います。

実務での問題点は、免税事業者です。得意先からインボイスを求められても、適格請求書発行事業者でなければ登録番号は記載出来ません。インボイスを発行出来ない事業者とは取引しないという問題も発生します(原則、払った消費税の税額控除が出来ない事が理由で)。


仕入税額控除について


ここで、特例があります。

令和5年9月30日までは、
課税仕入れ等の税額×100%を仕入税額控除出来る。

令和5年10月1日(インボイス開始時)~令和8年9月30日まで
課税仕入れ等の税額×80%を仕入税額控除出来る。

令和8年10月1日~令和11年9月30日まで
課税仕入れ等の税額×50%を仕入税額控除出来る。

令和11年10月1日以降は、課税仕入れ等の税額控除出来ない。

従って、消費税を払った課税事業者は、相手先が適格請求書発行事業者かどうかを判断しないといけません。会計ソフトでコードの入力が必要となります。参考までに、質屋さんや中古車販売業の場合は、上記特例は無く仕入税額控除が出来ます。免税事業者は、インボイスを申請するかどうかを判断しないといけません。課税事業者については、原則全て申請をすると良いでしょう。

それでは。良い一日を!!