61話「税務調査について」

今回は、以前にも書きましたが税務調査について書きたいと思います。

秋の季節は税務調査が一番多い時期です。

税務調査で用意する資料は、申告書一式、総勘定元帳、請求書、領収書、議事録、契約書、通帳等です。
税務調査の日程は、1~2日が通常です。

税務調査に確認する事は、調査対象期間の申告の誤りがあるかどうかです。申告の誤りがあり調査前に修正申告を提出した場合は、加算税が減免(10%が5%)となります。重加算税についても減免(35%が5%)となります。税理士でもここの確認をしていない場合もありますので、調査前に確認してください。

調査の場所は、会社でなくても良いです。税務署からかなり離れた場所は問題ですが、調査を受ける会社から近い貸し会議室でも良いです。

午前中は、雑談と会社の事業内容、経理の流れを確認します。雑談中に、納税者(社長)様が話し過ぎない事がコツです。事業の話は幾らでも展開して話して良いですが、事業以外のことは話さない方が良いです。なかなか難しいと思いますが、気を付けてください。調査官は、社長様の「虚偽答弁」を指摘したいので、なるべく社長様と話をしたいです。税理士ならば、この話はしてはいけないと分かりますが、なかなか社長様には分からないところです。営業の得意な社長様であれば、特に注意です。話す内容のウソはだめですが、余計な話をしない事です。お土産(追徴課税される事)は相手に持たす必要はありません。これについても気になる社長様がいらっしゃいます。結論は、お土産を持たす必要はありません。国税庁からも調査の結果が出ています。例年、調査で問題無しは約25%です。4社に1社は追徴課税無しです。


調査官から売上計上もれの指摘があった場合の対応


事実確認をしっかりやりましょう!!

  • 今期計上せず、次期に計上されている場合は、「期ズレ」なのであまり問題になりません(多少の税金は発生しますが)。
  • 今期も次期も計上されていない場合は、注意が必要です。

調査官は、隠蔽があったと言います。隠蔽があった事を認めると重加算税を納付する事になります。調査官は、重加算税を課税出来るとかなりの評価が上がります。従って、重加算税を課税する方向へ誘導する場合があります。重加算税の徴収要件には、仮装隠蔽が無ければ徴収する事は出来ません。従って、隠蔽があったと指摘をします。

納税者の対応としては、単なるミスで計上漏れとなったと伝える事です。金額の大小ではありません。たまたま、ミスで計上が漏れたと伝えます。ミスは、隠蔽ではありません。従って、重加算税は徴収されません。税理士でも勉強不足だとこの事が分からない場合もあります。こちらがミスであると伝えれば、調査官の方で隠蔽の事実を証明しなければなりません。隠蔽の事実を証明出来なければ、重加算税は徴収されません。

重加算税が課税されると3~5年毎に税務調査が来る可能性が高くなります。従って、重加算税が課税されない様にしてください。

ここで実務上出てくるケースを話します。

調査官が5つ指摘したが、3つの件について修正申告をし、重加算税を課税出来れば、調査を終わらせたいと言われた場合。

4つの件を修正申告した場合の追徴税額 500万円 重加算税は除く
3つの件を修正申告した場合の追徴税額 200万円 重加算税75万円

トータルでは、3つの件の修正申告をした方が納税額は低いです。どちらを選んだ方が良いか?ですが、結論は、ケースバイケースとなります。資金繰りが厳しく納税額を低くしたい場合は、3つの件を修正した申告書を提出する。重加算税を課税されると3~5年毎に調査が入る可能性が高くなるので、4つの件を修正した申告書を提出する。税理士と相談の上、方向性を決めると良いと思います。安易に納税額が低くなるから重加算税を課税されるのは注意が必要です。


税務調査のポイント


  • 社長様は、事業内容以外のことはあまり話さない。
  • 請求書等書類関係を整備する。
  • 顧問税理士と相談し税務調査を受ける。令状が無ければ会社に入れない。現況調査は、忙しいと言って税務調査を別日程にする。
  • 実は、調査が長引くと困るのは調査官。
  • 重加算税を安易に受け入れない。
  • 分からない事があっても動揺しない。後日返答すれば良い。

税務調査は受けたくないですが、今回のポイントを参考に顧問税理士と相談し、対応するのが良いです。

それでは。良い一日を!!