62話「印紙税について」

今回は、印紙税について書きたいと思います。実は、税理士の苦手な税目です。理由は、試験科目に無い点と実務で初めての経験が多いからです。

印紙税は、1624年にオランダでおいて財政立て直しを図るために考案された税金です。かなり古い税金です。紙の契約書等の文書に課税されます。従って、電子取引で契約した場合は、原則かかりません。しかし、紙の契約書等の場合には注意が必要です。税務調査でも契約書を確認する場合がありますので、印紙と消印を忘れずにしてください。


印紙税の課税されるもの


印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられている20種類の項目の課税事項が記載されています。(※リンクは、令和5年8月現在の課税物件表。)この表を使って20種類の項目に該当するかどうかを確認してください。20種類に該当しない事務所家賃の賃貸借契約には、原則印紙は必要ありません。

飲食店での現金払いの受取書(領収書)は、5万円未満も非課税です。たまに間違いがあるのが、カード払いの場合も印紙税は必要ありません。受取書が「営業に関しないもの」に該当する場合は、非課税となります。例えば、医師や歯科医師、税理士といった士業に該当する者が業務に関して作成する受取書が該当します。お医者さんから貰う領収書に印紙が無いのはこの為です。


請負に関する契約書


民法632条における請負のことであり、当事者のうち請負人が仕事の完成を約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約をいいます。契約書記載の金額によって、印紙税の金額が決まります。金額の判定は、原則、消費税込みですが、消費税等の金額が区分記載されている場合は、税抜金額で判定となります。従って、実務では明確に区分記載をしてください。

例えば、

請負金額110万円、税抜金額100万円、消費税額等10万円
請負金額(税抜)100万円、消費税額等10万円 合計110万円

上記例であれば、100万円で判定します。


委任契約に該当する場合は、印紙税は課税されない


民法643条の委任であり、委任者が受任者に税務申告を委託し、受任者がこれを承諾することによって成立します。委任は、民法656条の法律行為以外の事務を処理する場合の準委任を含みます。例えば、仕事の結果の有無にかかわらず報酬が支払われるもの。コンサルティング契約で業務内容に関する専門的な知識や経験の助言に対する報酬を支払う内容の契約であれば、委任契約に該当します。相談のみの業務。

注意点は、調査結果のレポートやマニュアル等が委託者に提供され、これに対する報酬が支払われる場合(仕事の結果と報酬の支払いが対応)には請負に該当し、印紙税の課税対象となります。


印紙税の過怠税について


印紙貼り忘れの場合は、本来の税額の3倍の過怠税
印紙を貼ったが消印の忘れの場合は、本来の税額の2倍の過怠税
となります。赤字の会社でも税務調査では印紙税を徴収する事が出来ますので、調査前までには契約書の印紙を確認してください。

それでは。良い一日を!!