66話「中小企業向け電子取引がある場合の注意点」

以前にも書きました(48話)が、かなり改正となりましたのでもう一度注意点を纏めたいと思います。

電子取引とは、例えばメールで請求書や領収書を受領している場合やAmazonでの取引を言います。EDI(電子データ交換)取引やインターネットによる取引も含まれます。


電子取引の保存に関する新たな条件


税制改正により「電子取引」の保存については、原則令和6年1月1日以降印刷をして書面保存が認められなくなりました。電子データを一定の要件を満たす方法で保存となります。(令和5年12月31日までは、紙で出力して保存していれば大丈夫でした。)

電子データについて、原則、検索機能を有するシステムでの管理が必要となりました。

検索の要件は、

  • 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定する事が出来ること。
  • 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定する事が出来ること。
  • 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定する事が出来ること。

となっています。

なかなか中小企業では、新システム導入が難しい場合があります。中小企業でも導入出来る事例が国税庁のHPにあります。

◆中小企業でも取り組めるパソコンでの保存方法

一つの例を挙げます。

電子メールにPDFの請求書が添付された場合に、自社のパソコンでの保存方法は以下の通りです。

  1. 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容表示する。
    例えば、2022年10月31日㈱国税商事から受領した110,000円の請求書であれば、ファイル名を「20221031_㈱国税商事_110,000」とする
  2. 「取引の相手先」や「事業年度」等、任意のフォルダに格納して保存する。
  3. 電子取引データの訂正及び削除防止に関する事務処理規定を作成し備え付ける。
    事務処理規定については、国税庁のHPに雛形がありますので、必ず作成してください。

◆税制改正で変更になった点

税制改正でこの検索機能の確保要件の見直しがありました。

検索要件を全て不要とする場合には、

  1. 税務調査において電子データのダウンロードの求めに応じる事
  2. イ、前々事業年度の売上高が5,000(以前は、1,000)万円以下の者
    ロ、データを出力した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示・提出の求めに応じることが出来る様にしている者
    イ又はロの者である事

1、2を具備している場合は、検索要件が全て不要となります。

税務調査において電子データのダウンロードの求めに応じる事が出来、前々事業年度の売上高が5,000万円超の者は、取引年月日、その他の日付及び取引先ごとに整理された電磁的記録の出力書面の提出に応じられるなら検索要件は不要となります。

基本的な考え方は、紙で入手した原本は紙で保存、電子データで入手した原本は電子データで保存が原則となります。

まだ、対応されていない場合は、そろそろ対応を検討しないといけません。税制改正で、やむを得ない理由がある場合は、令和5年12月31日まで現行通り紙で保存も認められます。ご注意を!!

それでは。良い一日を!!