69話「出張旅費手当の注意点」

今回は、出張旅費手当の注意点を書きたいと思います。


行き過ぎた節税策には要注意


実は、税理士の資格を持っていない業者が過度な節税策を提案していることが多々あります。例えば、東京に個人事業者の事務所、大阪に法人の会社があり、大阪の会社から出張旅費手当をもらうスキームです。しかも通常の相場よりも高い出張旅費手当をもらうスキームです。出張旅費手当は、もらった従業員が非課税となるという事を使った節税スキームです。極端な話をすると、役員報酬月額30万円で出張旅費手当が40万円です。役員報酬よりも出張旅費手当が過大な場合です。たまたま役員報酬よりも大きくなって、それに対応する売上があれば良いですが、どう見ても出張旅費手当の非課税を使った役員報酬の圧縮は問題です。税理士ではない業者は責任を負いませんから、このスキームを提案します。

出張旅費手当が非課税な理由は、

  1. 立替えた経費の精算で業務上のものだから。
  2. 精算不要な出張旅費が実費よりも大きくとも、その金額が少額なので不追求。
  3. 非課税とされる金額は、同業他社の水準と従業員の地位とのバランスがある。

の3つが主な理由となります。いちいち領収書を細かく精算しないので、出張旅費手当で処理する事で非課税とする考え方です。

出張旅費は、商談の為に行った場合は仕事上の経費となります。原則は、実費精算です。間違えがあるケースは、ホテルの宿泊代を会社が払っていて更に宿泊日当代を払っているケースです。二重払いです。ホテルの宿泊代を会社が精算していなければ、宿泊日当はもらえます。

税務上は、現地の細かい移動に伴う経費や宿泊料を一々精算を行わなければ、同業他社の水準と従業員の地位とのバランスを加味した金額は非課税となります。


税務上の出張旅費手当のポイント


出張旅費規程を作成してください。

役職別、地域別等合理的な金額を定める。
例えば、国内宿泊出張の日当、宿泊料手当
日当 社長5,000円、部長3,000円、一般社員2,500円
宿泊料手当 社長15,000円、部長10,000円、一般社員8,500円
金額については、税法上明示されておりません。世間相場で金額を決める。社長は、一般社員の2倍位が目安です。

出張旅費規程があるから日当を認められる訳ではありません。ちゃんと実情にあった金額であるかが大切です。仮に、国内出張でホテル代の実費精算をしなければ、日当と宿泊料手当の合計額は、社長で1日25,000円位が目安となります。

税務調査でたまたま見逃して問題が無かった場合もあります。節度ある金額を決めてください。

●税務調査では、実際に出張したのかを見ます。証拠資料を用意してください。

実務上、交通費や宿泊代は実費精算となる場合が多いです。従って、宿泊料手当は0円で日当を支給する場合が多いと思います。会社の事務処理を考えながら出張旅費手当をどうするかを考えてみてください。

税理士ではない業者が提供する節税?商品は、注意が必要です。最近では、副業をすれば事業所得となり、事業所得がマイナスであれば給与所得と損益通算が出来、節税となる話がありますが、令和4年で国税庁から年間売上300万円以下の場合は、事業所得ではなく雑所得とする話しが出ました。雑所得だと損益通算出来ないので。

過度な節税は、必ず法改正となります。バランス感覚がある税務への対応が必要です。

それでは。良い一日を!!