71話「納税地異動について」

実務ではあまり頻繁にはありませんが、1回位は納税地異動があります。

個人事業者については、令和4年の税制改正で異動届出書は原則廃止され、令和5年1月1日以後の納税地異動は、確定申告に異動後の内容が記載されれば良いこととなりました。しかし、実務上、税務署の管轄が変わる場合は、源泉税の納付先の変更を早めに行った方が良い場合があります。その時は、異動届出書を税務署へ提出する場合があります。

法人については、異動前の納税地の税務署へ異動届出書を提出します。改正前は、異動前と異動後の税務署へ異動届出書を提出していましたが、簡素化となりました。ダイレクト納付をしている場合は、注意が必要です。
例えば、1月から6月の給与の源泉税の納付は、7月10日までに納付をしなければなりません。判断基準は、本店移転した登記年月日で判断します。

例)
本店移転した登記年月日が6月29日ならば、税務署へ納付。
本店移転した登記年月日が7月25日ならば、税務署へ納付。

法人税等の納付先も本店移転した登記年月日で判断します。

インボイスについての話も少ししておきます。

インボイス発行事業者(インボイス登録事業者)で法人の本店異動があった場合には、原則として「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を提出する必要があります。ただし、先程の異動届出書を提出した場合には、登載事項変更届出書の提出を省略することが出来ます。提出を省略する為には、異動届出書の消費税欄にチェックを入れて異動前の税務署へ提出することが条件となります。

個人事業主のインボイスについては、法人と異なる処理をします。「主たる事務所の所在地等の変更」や「屋号の変更」がある場合には、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書を提出します。

届出書の確認で法人個人共通は、

●異動届出書(個人は、提出しなくても良い)
●給与支払事務所等の移転届出書
●源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

ダイレクト納付については、税務署で引継ぎをしてくれるので提出の必要はありません。

法人については、都税事務所、県税事務所、市役所へ異動届出書が必要となります。

実務上あまり出る事はありませんが、事業を行っていると1回位は納税地異動があると思います。その時は税理士へ相談し、届出関係や納税先に注意をしてください。ご参考まで。

それでは。良い一日を!!