10話「消費税について②」

消費税について①は、こちら

前回、消費税の概要を説明しました。今回は、ちょっと細かく説明していきます。


原則の納税額計算


①国内取引である。
従って、海外での取引は、課税対象外(消費税がかからない)となります。

国内で商品を仕入れて、輸出して商品(輸出業)を売る場合は、どうなるか?

国内で商品を仕入れた部分には、通常10%の消費税が課税。
例えば、年間仕入が税抜金額1,000万円であれば、100万円が支払った消費税。

輸出で商品を売った部分は、輸出免税で0%課税(二重課税防止の為)となります。
従って、預かった消費税は0円です。

消費税の納税額計算は、原則、

預かった消費税 - 支払った消費税 = 納付する消費税

今回のケースでは、0円 - 100万円 = △100万円 が還付となります。

注意点は、免税事業者だと還付を受けられないですが、課税事業者選択届出書を提出すると免税事業者でも課税事業者となります。
従って、課税事業者であれば今回のケースでは、100万円の還付となります。

課税事業者選択届出書を提出すると原則2事業年度は、課税事業者となります。2事業年度で有利不利を考慮して課税事業者選択届出書を提出するかどうかを考えます。


簡易課税


消費税の納税額計算には、原則以外に、簡易に計算する方法があります。

簡易課税を選択出来る個人事業者と法人は、基準期間(簡単に説明すると2年前の事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の場合です。
ただし、一定の場合は、5,000万円以下でも簡易課税を選択する事が出来ません。

簡易課税を選択したい場合も届出が必要です。選択した場合は、原則2年間簡易課税を選択しなければなりません。

例えば、年間の卸売上高が税抜で2,000万円の場合

預かった消費税 200万円
支払った消費税 200万円 × 90%(みなし仕入率)= 180万円

みなし仕入率は、卸売業90%、小売業80%、製造業70%、飲食店業60%、サービス業50%、不動産業40%等業種別に分かれます。

200万円 - 180万円 = 20万円が納付する消費税となります。

簡易課税は、売上に対する消費税をメインに消費税納税額を計算します。
実務では、卸売業であればみなし仕入率90%>実際の課税仕入率80%の場合簡易課税を選択した方が良いとなります。

実例では、
年間の卸売上高が税抜で2,000万円の場合は、預かった消費税 200万円
年間の課税仕入が税抜で1,600万円の場合は、支払った消費税 160万円

200万円-160万円=40万円が原則で計算した結果となり、簡易課税であれば、20万円の納付で済みました。

90%>1,600÷2,000=80%より簡易課税を選択した方が良いという事です。


簡易課税を選択しない方が良いケースもある


ここで、簡易課税を選択しない方が良いケースを話します。

1期目2期目 課税事業者で、税抜売上3,000万円の製造業とします。

1期目の課税仕入は、製造経費2,000万円とします。
2期目の課税仕入は、設備投資1,500万円と製造経費2,000万円とします。

1期目の消費税納税額を原則で計算すると、300万円-200万円=100万円納付。
2期目の消費税納税額を原則で計算すると、300万円-350万円=△50万円還付。

1期目と2期目の純額での納付額は、50万円

1期目の消費税納税額を簡易で計算すると、300万円-300万円×70%=90万円納付。
2期目の消費税納税額を簡易で計算すると、300万円-300万円×70%=90万円納付。

1期目と2期目の純額での納付額は、180万円

2年間をみると原則課税(原則50万円<簡易180万円)を選択した方が得になります。


免税事業者や簡易課税を選択する事が出来ない場合もある


ここは、参考で良いです。多分、分かり難いと思います。

事業者が、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間中(課税事業者で原則課税の課税期間の事です)に高額特定資産(一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。)の仕入れ等を行った場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度の適用及び簡易課税制度を選択して申告する事ができません。

結論は、1,000万円以上の設備投資をした場合は、免税事業者と簡易課税を選択する事が出来ない課税期間が発生する事です。


最初、ちょっと難しい内容ですが、言葉に慣れてください。

実務では、2年間の事業計画を基に、将来のデータを加味しながら税理士が試算しますので、ご安心を!! 

それでは。良い一日を!!