13話「人件費(労働分配率)について」

以前、損益分岐点売上について書きました。
損益分岐点売上とは、利益が0円となる売上の事です。つまり、トントンになる売上高です。

今回は、労働分配率について書きたいと思います。


労働分配率の計算


労働分配率は、高すぎても低すぎてもダメです。
高すぎると会社の利益が出ない。低すぎると従業員の給与満足度が下がる傾向となります。

労働分配率 = 人件費 ÷ 限界利益 (売上総利益)

となります。

人件費には、役員報酬、給与賞与、賃金、法定福利費、福利厚生費の合計が入ると考えてください。

例えば、現状以下の様な会社があると仮定します。

売上 10,000万円
変動費 5,000万円
限界利益(売上総利益) 5,000万円 限界利益率50%
固定費 4,000万円(人件費2,000万円含む)
当期利益 1,000万円
人件費          2,000万円           

労働分配率: 2,000 ÷ 5,000 = 40%


労働分配率の応用


ここで、労働分配率を使って、売上・限界利益率・人件費以外の固定費は現状のままで、新たに人を採用する場合の人件費上限の目安を考えてみましょう。

労働分配率が40%から50%へアップすると仮定すると
人件費は、限界利益5,000万円 × 50% = 2,500万円となります。

売上 10,000万円
変動費 5,000万円
限界利益(売上総利益) 5,000万円 限界利益率50%
固定費 4,500万円(人件費2,500万円含む)
当期利益 500万円

人件費2,500万円 - 2,000万円 = 500万円が上限の目安となります。

金額の目安が分れば、採用の人数をどうするかを考えます。
経験者1名500万円採用なら今後の売上増も見込まれる可能性があります。
新人1名とアルバイト数名という採用もあると思います。

会社の状況で、採用する人数や金額の目安として労働分配率を使うと経営判断する時に役立ちます。

もう一つの例を見てみましょう。

来期売上増10%で限界利益率は50%と仮定
人件費以外の経費は、2,500万円とした場合

労働分配率を40%とすれば、5,500万円 × 40% = 人件費2,200万円。

売上 11,000万円
変動費 5,500万円
限界利益(売上総利益) 5,500万円 限界利益率50%
固定費  4,700万円(人件費2,200万円含む)
当期利益  800万円

2,200万円 - 2,000万円 = 増加した200万円の人件費をどう配分するか?

・従業員の賞与として配分する。
・役員報酬100万円、従業員100万円と配分する。

一つの例ですが、色々と考えられると思います。

売上や限界利益率等の数値を色々なケースで試算をしながら人件費をどうするか決める時に、労働分配率を使ってみてください。

それでは。良い一日を!!