21話「貸借対照表のポイント②~負債・純資産の部~」

20話「貸借対照表のポイント①~資産の部~」は、こちら

貸借対照表のポイントの前に、商品仕入がある場合で損益計算書の売上原価を説明します。

仕入の無いサービス業であれば、

商品を仕入れて売る業種では、
売上原価は、期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高 となります。

期首商品棚卸高とは、前期の売れ残った商品です。
期末商品棚卸高とは、当期の売れ残った商品です。

売上原価は、2,000 + 9,000 - 3,000 = 8,000 となります。

利益を出したいので、期末商品棚卸を本来の数字以上に計上する事で、粉飾をする場合がありますが、やらないでください。
期末商品棚卸高は、次期の期首商品棚卸高となり、問題を先送りしているだけです。
何故売れなかったかの原因を考える事が重要です。

商品の仕入があり、期末商品棚卸高が有る場合は、
貸借対照表では、流動資産の商品(棚卸資産)として計上します。


貸借対照表の見方 ― 負債 ―


説明を始める前に、もう一度前回と同じ貸借対照表を確認してみましょう。

それでは、負債の部について説明します。
負債の部は、別名、他人資本と言います。いつか返済をしなければいけないものです。

大きく分けて、流動負債固定負債の2つに分類されます。
流動負債とは、短期(1年以内)に返済しなければならないもので、買掛金、短期借入金、未払金があります。
固定負債とは、1年以上の長期に渡って返済しなければならないもので、長期借入金が代表的な例となります。

貸借対照表で見比べて欲しいのが、流動資産と流動負債の金額です。
これを流動比率と言います。資金繰りの状態を見るのに参考となります。

流動比率 = 流動資産の計 ÷ 流動負債の計

150%以上が目安。100%未満だと資金繰りが苦しい状態となります。
今回の貸借対照表では、181,500 ÷ 101,000 = 約179%となります。


貸借対照表の見方 ― 純資産 ―


純資産の部は、資産から負債を差し引く事で金額が決まります。
別名、自己資本と言います。返済不要の資金です。

資本金は、設立時の出資した金額です。
中小企業では、消費税の免税事業者を考えて、1,000万円未満とする場合があります。
資本準備金、利益準備金等がありますが、ここでは説明を省略します。

利益剰余金は、会社設立からの税引後純利益の合計となります。
合計がプラスであれば良いですが、マイナスは良くないです。

財務分析で自己資本比率と言うものがあります。会社が倒産しないかどうかを見るのに参考となります。
(業種によって自己資本比率の平均値が違うので注意です。銀行業はかなり低いです。)

自己資本比率 = 純資産(自己資本)の合計 ÷ 資産合計  

40%以上だと倒産する可能性はかなり低いです。
前回の貸借対照表では、93,200 ÷ 233,000 = 40% となります。
お金の出る節税ばかりをやっていると自己資本比率20%前後となります。
20~30%以上を目標にすると良いでしょう。
勿論、40%以上であれば、銀行からの借入時もかなり低い金利で借りる事が出来ます。
資産をコントロールしながら利益を出し、お金の出る節税をあまりしなければ、自己資本比率は、増加します。


貸借対照表の見方 ― その他のポイント ―


そのほかのポイントは、

買掛金の増加した理由は何か?
外注費や仕入が伸びたからか?
買掛金の支払サイトが長くなったからか?
買掛金の支払もれは無いか?

・・・等を分析してください。

買掛金の減少した場合も、その理由を分析してください。
借入金については、借り過ぎず適正な借入であるか?金利も適正であるか?設備投資は、長期借入金でまかなわれているか?を確認すると良いでしょう。

今回は、負債及び純資産の部を中心に説明をしました。
次回は、キャッシュフロー計算書を説明します。

それでは。良い一日を!!