自分のペースで生きる、広げる、ポルトガル

『七つの丘の街』とも言われるリスボンでは夕日を見ることのできる絶景ポイントが多く、仕事終わりに友人と公園やカフェ/バーに集まり、夕食前のひと時を楽しめるいい季節になってきました。

今回は、ポルトガルでの生活トラブル対応などの体験談現地の人とのネットワーク作りについてお話ししたいと思います。


人との繋がりを大切にするポルトガルの生活


ポルトガルで生活を始めてから、オフの時間の使い方がとても豊かになったと思います。学業や仕事が忙しくても、一歩街に出れば、ゆったりと流れる時間の中で、せわしなさを感じることもなく過ごすことができます。教会の鐘やカモメの鳴き声で目を覚まし、近所の喫茶店でエスプレッソを飲み、日常的に公園やビーチに出かける。こういった生活サイクルの中で、人との繋がりに使う時間も増えました

ポルトやリスボンは都会というよりも街。中心街に住んでいれば、徒歩で気軽にどこへでも行けます。コミュニティは小さく、今日出会った人と数日後に偶然バッタリ再会する…ということもよくあり、様々なバックグランドの人々と出会うことができ、とても有意義な毎日を過ごしています

特にリスボンは外国人が多く、彼らによる新たなビジネスも続々と生まれており、そのコミュニティは活気に溢れています。Startup Lisboaのような起業を支援する団体もあり、受け入れ体制も整いつつあるように思います。また、Meetupというアプリを使って日々多くのテーマでイベントが企画されており、コラボレーションの機会にも恵まれています

自分自身、こういったコミュニティの中に積極的に飛び込み、自分の目指すビジネスを伝えることで、協力者に出会うこともできました。


折れない気持ち


平和と信じ切っていた日々に悲劇が起きたのは、ポルトのシェアハウスで暮らし始めて1ヶ月が過ぎた頃でした。

生活基盤が整いつつあった土曜の昼下がり、昼食のためにキッチンへと行ったほんの少しの間に、寝室にあった現金30万円相当とスマホ2台が無くなっていて呆然!なんと空き巣に入られたのでした!

こんな失態は自分で対応しなければ、との思いから警察の事情聴取などは一人で対応しましたが、思うように伝えきれませんでした。

今思うと、大家さんやポルトガル人の友人に手伝いを依頼していれば、警察への説明も十分にでき、対応は変わっていたかもしれません。スマホの盗難追跡機能で調べたり、盗品が売られているという噂の蚤の市にも足を運んだりし、自分なりに行動してみました。しかし、結局犯人は見つからず、泣き寝入りとなりました。こういう時は遠慮せずに人を頼ることも大切だと痛感しました。

この事件で、ヨーロッパ周遊の旅を予定していたクリスマス休暇は、全てキャンセルしてポルトに待機することに。しかし、このおかげでクリスマス期間の数日は友人の実家に招待してもらい、家族や親戚に囲まれた、ポルトガルの心温まるクリスマスを存分に体験することができました

また、ポルトガルで最も歴史のあるクラフトビアブルワリーであるLETRAにて短期インターンシップの機会も得ることができ、製造ライン補助からイベント開催、戦略企画の手伝いなど、ポルトガルの企業文化を知る貴重な体験にも繋がりました。この休暇中に出会った人との繋がりは、今でもポルトガルでの生活を豊かにしてくれています。

学校が忙し過ぎて落ち込んでいる暇もなかったというのもありますが、この出来事で、AがダメならBというように、何かにつまずいても、前向きな気持ちに切替えることで新たなチャンスが生まれてくるということを学びました。 


好きなもので輪を広げよう


ビジネススクール在学中は平日も週末も自宅と学校との行き帰りの毎日。気分転換になるのは、近所のクラフトビアバー“CATRAIO”での一杯でした。日本にいる頃から日本クラフトビール協会のメンバーになる程のビール好きで、たまに時間ができるとバー巡りをしていました。たとえ言葉に不自由があっても、好きなものが同じであればすぐに意気投合できます

ビール関連の繋がりだけではなく、バーで個展を開催しているアーティストやデザイナー、イベントプランナーなど多様な業界の人と知り合うこともでき、自分の思い描くビジネスプランに新たなエッセンスを加えてくれています。

週末にはHash House Harriersというランニングクラブに参加し、ポルトやリスボン近郊の街や自然の中を仲間たちと走り、交友を深め、多忙な毎日の気持ちをリセットしています。

これも、東京にいた頃から参加していたクラブで、世界中の主要都市にクラブがあります。地元のランナーの他にも世界中からのビジターも参加し、お互いをHasherと呼び合い、世界中にネットワークを作るのにとてもいいクラブだと思います。就職活動中には地元Hasherのネットワークで企業紹介を受けたり、ビールイベントの企画に携わる機会を得たりすることもできました。

新たな挑戦をするために日本を離れポルトガルに来ましたが、全てを一から始めるのではなく、自分の好きなこと、得意なことをベースに人との輪を大きくすることで、可能性も広げていくことができます

次回は、ポルトガルでの就職と雇用環境、そして起業への挑戦についてお話ししたいと思います。