51話「株式の持ち株比率について」

今回は、株式の持ち株比率について書きたいと思います。


代表取締役が2/3以上の株式を持つ事が大切?


株式会社を設立する場合には、株式の持ち株比率が重要です。株主一人であれば問題はありません。親族で出資の場合は、リスクがゼロとは言えませんが、他人の出資よりは安全です。例えば、夫婦で夫70%、妻30%が一つの例です。

ここで良くあるのが、夫50%、妻50%です。結論から申し上げますとあまりお薦めではありません。理由は、普通決議が決まらないからです。

普通決議では、議決権の過半数(51%以上)を有する株主の出席があり、出席した株主の過半数の賛成で成立します。例えば、役員や監査役の報酬額の決定役員の選任や解任監査役の選任(解任は、特別決議)、剰余金の配当、決算の承認。

普通決議以外に特別決議があります。特別決議では、議決権を行使出来る株主のうち、議決権の過半数を有する株主の出席が必要で、議決権数は、出席した株主の2/3以上の賛成が必要です。特別決議は、普通決議よりも重要とされる決議に適用されます。合併や会社分割、事業の全部譲渡、重要な一部の事業の譲渡の承認といったM&Aにかかわる事項。定款変更、監査役の解任

設立時に他人の出資がある場合は、注意が必要です。

代表取締役が2/3以上の株式を持つ事が一番大切です。
2/3以上が無理な場合は、51%以上を持ってください。

2人の出資者では、50%と50%もお薦めしません。
4人の出資者では、一人あたり25%もお薦めしません。


持ち株比率と株主の権利について


株主の権利は、持ち株比率で変わります。

1株以上 議事録閲覧権、株主代表訴訟

6ヵ月前から1%以上か300個以上の議決権  株主総会における議案提出権

3%以上 会計帳簿等の閲覧請求権

6ヵ月前から3%以上 株主総会招集請求権、取締役の解任請求権

10%以上 解散請求

1/3超  特別決議を単独で阻止出来る

1/2以上 普通決議を単独で阻止出来る

1/2超  普通決議を単独で決議が出来る

2/3超  特別決議を単独で決議が出来る

他人が出資した場合には、次のリスクもあります。会社の乗っ取りや重要な会社情報の洩れ、持っている株を買って欲しい等です。お互いに良好な関係が続いていれば良いですが、他人が出資している場合は、お金に困って株を買い取って欲しいという場合もあります。会社や代表取締役に資金があれば良いですが、資金が無い場合は厳しい状態となります。

上場を目指さなければ、なるべく株主数は少ない方がリスクは少なくなります。

従って

中小企業では、代表取締役が2/3以上持っている事が原則(事業承継の場合は、例外あり)です。

会社を設立する場合には、株主構成をきちんと決めてください。

それでは。良い一日を!!