54話「個人の確定申告について」

今回は、令和4年1月1日から適用となる改正点個人の確定申告について書きたいと思います。

個人事業主の方は、青色でも白色でも原則2月16日から3月15日までに確定申告をしなければなりません。コロナの影響で申告期限が延長となるかもしれませんが、注意が必要です。ちなみに消費税の申告は3月31日までですが、実務上、所得税の確定申告と一緒にしますので分けて提出する必要はありません。

1年間分を纏めて確定申告をするよりも去年の段階に事務処理(売上や経費集計)をして確定申告をすると良いと思います。バタバタしてやるとミスが起こります。

納税の方法に、振替納税という制度があります。
納期限までに、預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を提出する事により、税金の支払いを銀行口座から引落する事が出来ます。所得税と消費税の納付タイミングを約1か月先に出来ます。延納よりも良いと思いますので、活用すると良いでしょう。

個人事業主の方は、例年確定申告をしているので、忘れるケースは無いと思いますが、申告期限までに申告納税を済ませてください。


会社員で確定申告をする事で税金が戻るケース


ここで、会社員で確定申告をする事で税金が戻るケースを紹介します。

  1. 年の途中で退職し、就職していない場合
  2. 住宅ローン控除を初めて受ける場合(来年からは変更有り)
  3. 寄付をした場合。ふるさと納税をし、ふるさと納税ワンストップ特例制度を使っている場合は確定申告不要です。
  4. 医療費控除を受けたい場合(詳しい話は後日致します)。
  5. 上場株式の損失を3年間まで繰越せる制度を活用し、今後の利益と相殺したい。
  6. 上場株式の損失が出たA証券の特定口座と上場株式の利益が出たB証券の特定口座の損益通算をしたい場合。

上記の内容に当てはまる場合は、確定申告をすると良いでしょう。


確定申告をしなければならないパターン


その他注意点として、以下の方は確定申告をしなければならない方です。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
    年末調整が出来ないので、確定申告をしなければなりません。

  • 1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所   得の金額の合計額が20万円を超える人
    副業をしていて雑所得が20万円を超える場合です。

  • 2か所以上から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

    注意:給与所得の収入金額から雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
    ポイントは、2か所以上から給与を受けている人は、申告の必要があるかもしれないと覚えてください。

  • 同族会社の役員等で、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料等を受取っている人(20万円以下でも申告必要です)。
    仮に不動産所得が15万円でも同族会社の役員で、その会社からの収入がある場合は、確定申告をしなければなりません

上記以外のケースもありますが、実務で良く出るケースを纏めました。


令和4年1月1日から適用となった改正点


最後に、令和4年1月1日から適用となった改正点を纏めます。

◆還付申告の提出期限について

確定申告義務が有り還付申告は申告書の提出期限が翌年1月1日から5年間。
確定申告義務が無し還付申告も申告書の提出期限が翌年1月1日から5年間。

提出期限が長くなりましたが、還付申告は早く終わらせれば還付も早いので忘れずに早めに還付申告することが良いです。

◆従業員の退職所得課税の適正化

以前の税制改正で役員の勤務年数5年以下の退職所得課税の強化がありましたが、従業員についても適用となった。

勤続年数5年以下である者(役員を除く)が支払を受けるもの(短期退職手当等という)。
イ(短期退職手当等の収入金額―退職所得控除額)が300万円以下の場合
(退職手当等の収入金額―退職所得控除額)×1/2
ロ(短期退職手当等の収入金額―退職所得控除額)が300万円超の場合
300万円×1/2+{(退職手当等の収入金額―退職所得控除額)―300万円}

5年以下の勤務者で退職する場合には、税務上注意が必要です。

それでは。良い一日を!!