55話「従業員が死亡した場合の会社税務処理注意点」

今回は、従業員が死亡した場合の税務処理で、死亡退職金弔慰金について書きたいと思います。


死亡退職金


従業員が亡くなった場合の死亡退職金は、所得税非課税になります。しかし、相続税の課税対象となります。

相続税では、非課税限度額を決めています。500万円×法定相続人が非課税限度額です。

例えば、子供2人で先に夫が亡くなった場合、子2人+母=法定相続人は3人。従って、500万円×3人=1,500万円以下であれば非課税となります。

税務署へは退職手当金等受給者別支払調書を死亡退職金の支払った翌月の15日までに提出しなければなりません。

会計処理は、特別損失に退職金として計上します。


弔慰金


従業員が亡くなった場合に受ける弔慰金については、通常相続税の対象となる事はありません。

しかし、

1、被相続人の雇用主などから弔慰金などの名目で受け取った金銭などのうち、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分は、相続税の対象になります。

上記内容に該当する事は実務上あまりありません。ポイントは、次の2です。

2、上記1以外の部分については、次に掲げる金額を弔慰金等に相当する金額とし、その金額を超える部分に相当する金額は、退職手当金等として相続税の対象となります。

(1) 被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額

(2) 被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき
被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額

弔慰金が実質上退職手当金に該当するかどうかについては、弔慰金規定に基づいて計算される事を前提にしています。従業員の地位、功労等を考慮し、会社が営む事業と類似する事業において同様の地位にある者が受ける額を勘案して判定します。

実務上、半年分の最大額を支給するケースは少ないと思います。普通給与とは、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当等の合計額をいいます。

会計処理は、福利厚生費として計上します。

その他の注意点は、住民税を特別徴収している場合には、市区町村へ届出を提出します。社会保険についても届出が必要です。

死亡した者の所得税確定申告は、準確定申告となり死亡日から4ヵ月以内に申告、相続税の申告は、死亡日から10ヵ月以内に申告となります。

実務上、あまり発生しませんので税務に関しては税理士へ、社会保険については、社労士へ相談し適正に処理をしてください。